シロアリのこと

「しろあり」って害虫?

<自然界でのしろあり>
地球の大自然の中で人・植物・昆虫など多くの生き物は、互いに関連し、互いに相手を自己の生存条件として共存共生しています。人間は人間のエゴでそのバランスを崩してしまっていますが…。そんな中でしろありは他の生き物がほとんど栄養源として利用しない植物の老化部分を栄養として生きています。つまり、弱った木、枯れた木、枯れ枝、枯葉などを食べ、植物の分解者という役割をになっています。
また、このような食性により、しろありの身体は高タンパク質となり、アリクイなどのしろありを食べる動物、時には人間の大切な栄養源になっています。住宅など人間の生活に関わる物さえ食べることがなければ、しろありは自然界の秩序のなかで大きな役割を担っている重要な生き物ということになります。

<住宅街のしろあり>
住宅の構造・立地条件は、近年、人間の居住性を高める技術の進歩と共に、めまぐるしく変化してきました。特に木造住宅においては、昔、木材がほとんど露出していたのに対して、近年は、コンクリートの利用と共に、木材と土が密閉された状況で組み込まれるようになりました。また、人口の増加により、多くの山林が宅地用に開発され、そこに生活圏を持っていた生き物を追いやって住宅が建設されました。そのような環境のなかで、しろありと栄養源としての「住宅」の距離がうんと縮まることとなり、しろありは、人間にとっては大切な財産である、住宅の木材を栄養とし、分解する「厄介者」というレッテルを貼られることとなりました。

日本にはどんな「しろあり」がいるの?

日本で住宅を加害するしろありは、主にヤマトシロアリ・イエシロアリの2種類ですが、近年乾材しろありの仲間であるアメリカカンザイシロアリの被害も多数報告されています。

<イエシロアリ>
このしろありは、温暖な沿海部に生息し、一つの集団が100万にも達するような大型な巣をつくる、住宅にとっては、最も恐ろしいしろありです。被害は、家屋の倒壊につながる程、大規模になることがあります。生殖能力が非常に大きいので少々のしろありを駆除した程度では、集団には全く影響はなく、「女王」のいる「本巣」を駆除しないと被害を止めることはできません。
駆除・予防をするには、専門家のしっかりとした調査が最優先であり、その上で処理方法を検討する必要があります。

<ヤマトシロアリ>
このしろありは、北海道北部を除くほとんど全土に分布し、日本で最も一般的はしろありです。イエシロアリのような大型な巣は作らず、数千から数万匹程度で構成され、巣を強大にすることはなく、どちらかと言えば、分散して生息するしろありと言えます。従って一軒の家に複数の巣が存在することも多いですが、被害は短期間に大きくなることはなく、浴室・トイレなどの特別な場所もしくは、漏水などの条件がなければ被害が小屋裏まで延びることもなく、家屋が倒れる程の被害になることは少ないと言えます。
駆除に関しては、しろありが最も密集している箇所が巣である確立が高いのでその箇所を確実に薬剤処理をすることで駆除できます。しかし、近年、基礎断熱・床下空間の無い構造など住宅のつくりも変化してきているので住宅の構造をしっかり把握した上での予防・駆除工事が必要となります。

<アメリカカンザイシロアリ>
乾材しろありという言葉はあまり聴き慣れないかもしれませんが、近年物流のグローバル化によって海外より木製品とともに持ち込まれたしろありです。日本の中では、和歌山県の一集落、東京、神奈川などで生息が確認されています。名前の通り、他の土壌性しろありのように土壌などから水分をとって生息するのではなく、乾燥に強く、木の中などのわずかな水分を利用して生きています。集団もヤマトシロアリよりもはるかに分散していて、数頭から千頭前後の数で存在し、食害した穴の中に糞が詰め込まれ、それが外に落ちてくることで発見されることが多いです。被害箇所は前述の通り、わずかな水分で生息していますので、家の中の家具などを含むすべての木に生息する可能性があります。ただ、イエシロアリのように被害が家屋の存在をおびやかすほど甚大になることは、ほとんど無いと言えます。
駆除は、ガス化した薬剤を家屋全体に充満させる「燻蒸」しか方法はありません。しかし、この方法も殺虫効果しかなく、予防効果はありませんので住宅に侵入した場合、非常に厄介なしろありと言えます。

「しろあり」ってどこで生活しているの?

しろありは、空気の動き・光を嫌い(羽ありを除く)、完全に密閉された空間に生息します。従って、外気に触れたり、光にあたる環境に遭遇した場合は、その部分を「蟻土」で覆い隠し、また木材や基礎の表面を移動する際にも「蟻道」という密閉されたトンネルの中を移動します。

自然界では、枯れた樹木や枯れ枝、弱った樹木、住宅に近いところでは、土に直接打たれた杭、地面に放置された木材などの密閉した空間で生活し、常に餌を求めて活動しています。自然界のなか(住宅の外部)での絶え間ない餌探しもしくは、羽ありの群飛で住宅にたどり着いたしろありは、住宅のなかで生活環境にあった居場所を探します。

住宅の中では、人間の生活空間でない床下が条件の整った絶好の生息場所となり、さらに近年のコンクリートを多用した住宅においては、土間の防湿コンクリートや犬走りなどのコンクリート裏面が風雨にさらされることもなく、クロアリなどの天敵も少ない格好の空間となり、活動拠点になっていることが多々見られます。また、浴室、トイレ、玄関などもコンクリートやタイルで仕上げられ、それに覆われた土や木材もしろありが非常に好む空間になっています。